デジタル化が進まない理由とデジタル化を成功させるポイント

デジタル化が進まない理由とデジタル化を成功させるポイント

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉は、耳目に触れない日がないほど社会に浸透していますが、推進状況においては、企業間で大きな格差が生じているのが実態です。
本記事では、デジタル化がうまく進まない理由を紐解き、成功のポイントをご紹介させていただきます。

デジタル化が求められる背景

各企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためにAIやIoTなどの導入に躍起になっているにもかかわらず、なぜ作業のデジタル化(デジタイゼーション)が求められているのでしょうか。他の記事(イノベーションをもたらすDX推進リーダーに求められる能力 ~上流工程スキルとリーダーシップ~)で取り上げたように、DX実現には3つのステップがあり、デジタル化はDX実現の初めの一歩だからです。

しかし、多くの企業が一足飛びにDX実現を目指し、AIやIoTなどの先進的なテクノロジーに飛びつきつまずいています。つまずく要因は複数考えられますが、現行の業務がデジタル化されていない、長年の運用で老朽化したシステム(レガシーシステム)のブラックボックス化などの課題を先に解決しておく必要があります。

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なぜデジタル化がうまく進まないのか ペーパレスを題材に

デジタル化がうまく進まない理由には、「経営層の理解が得られない」「人材の不足」「不十分なシステム企画」などが挙げられます。 特に何とか経営層の理解と承認を取り付けデジタル化に着手はしたものの、「いつまでも経っても要件定義が終わらない」、システムをリリースしたが「思ったような効果が得られない」「課題を解決できていない」「利用してもらえない」など、 プロジェクトの中断や課題を抱えたままプロジェクトが終了する事態に陥ってしまったケースをよく耳にします。

その原因の多くは、システム企画が不十分であることです。 言いかえるとシステム開発(導入)に踏み切る前に十分な現状調査・課題の把握を十分に行わないまま、手段を検討し開発(導入)に突き進んでいったことが原因です。

デジタル化プロジェクトの実態

テクノロジーやプロジェクトマネジメント手法が日進月歩で進化しているにもかかわらず、システム開発(導入)プロジェクトの失敗は昔も今も減っていません。日経コンピュータが2018年に行った「ITプロジェクト実態調査2018」報告によると、約47%のプロジェクトが失敗していると言われています。

なかでも技術的要因でシステム開発(導入)プロジェクトがうまくいかなくなった割合は、わずか15%程度と言われており、失敗要因の大半がプロジェクトマネジメントとシステム企画にあると言われています。DX推進にあたり老朽化したシステム(レガシーシステム)の再構築やクラウド化は、多くの企業が抱えている課題です。

そして、そのようなシステムを刷新しDXを推進するためには、十分なシステム企画の立案が必要不可欠となります。

デジタル化プロジェクトを成功させるポイント

老朽化したシステムの刷新や作業のデジタル化に必要不可欠なシステム企画の立案は、「上流工程」「要求定義」とも言われる工程のことです。この工程が不十分なまま開発(導入)工程に進むと、仕様漏れの発覚、課題解決・目的達成ができないシステムを作ってしまう事態に陥ってしまいます。

そのような事態に陥らないためには、以下のポイントを踏まえIT企画で「何を、何のために、何をやるのか」、「誰の、どのような課題を、どのように解決するのか」をしっかりと捉えることが、デジタル化プロジェクトを成功させるポイントです。

言いかえると成功のポイントは、「取り組むべきテーマ・目的を明確にし、業務を棚卸して課題を可視化し、デジタル化の適合性・実現性を検討する」ことです。そのためには、システム企画を実行できる業務に精通した人材の育成と確保が重要となってきます。

デジタル化の企画を成功させるポイント

  • 何のためにどこまでの効果を出すのか、関係者一同でベクトルを合わせる
  • すぐに情報システムの検討に入ってはならない、まず業務ありきで考える
  • IT活用の適合性と実現性を診断する
  • 経営・業務・IT、各部門が当事者意識をもって参画する
  • 情報システムの経営と業務への適合、および効果と費用の関係を追及する

※参考:リンプレスブログ「システム開発の上流工程を成功させるポイントとは?」

デジタル化を推進するIT人材の育成と確保

これまでデジタル化プロジェクトを成功させるためには、十分なIT企画が欠かせないと述べてきましたが、多くの企業で人材不足が課題となっています。とりわけ、IT企画を担う人材の育成は、喫緊の課題となっています。

経済産業省発表の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」では、DX実行のために必要な人材の育成・確保に向けた取り組みに関して以下のように必要性を述べています。

DXの実行のために必要な人材の育成※に向けた取り組みは行われているか。

  • DX推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材の育成・確保
  • すぐに情報システムの検討に入ってはならない、まず業務ありきで考える
  • 各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取組をリードする人材、その実行を担っていく人材の育成・確保

※人材確保には、社外からの人材の獲得や社外との連携も含む。

このような人材を確保しDXを力強く推進する体制を構築する ために、「業務部門からIT部門への異動」 「IT知識をもった中途採用」を積極的に進めており、IT部門の要員数は増加傾向にあります。

しかし、中途採用は他社との取り合いになり、思うように進まないのが現状です。 そこで、注目されているのが業務知識をもった社員のIT部門への異動による人材の確保です。

とはいえ、業務部門から異動になった社員がすぐにIT企画ができる訳ではありません。 業務知識を武器にしたIT企画の立案ができる人材の育成には、以下3つのポイントを理解できる体系的な教育が必要となります。

  • ビジョンやコンセプトを明確にする

    「システム化の目的」「システムコンセプト」を関係者一同で共有する

  • 業務・現行システムの全体像を明確にする。

    「問題点・ニーズ」「取り組むべきテーマ」「トップの意向」を確認・共有する

  • 経営・業務・IT部門が一体となる。

    各部門の希望を満たし、関係者で合意し、実現可能なIT化計画に落とし込む

まとめ

IT部門の役割は一層広範囲となり、IT企画力がビジネス変革による企業の成長力に直結するようになりました。 DX推進の第一歩であるデジタル化(デジタイゼーション)を成功させるポイントは、しっかりとしたIT企画の立案と遂行する人材の確保・育成にあります。

リンクレアでは、1986年から独自のIT企画手法「CANVA-SA®」をもとにした研修カリキュラムを提供しており、ここ数年参加者が増加傾向にあります。 DX実現への第一歩であるデジタル化を成功させる人材育成に是非ご活用ください。

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肝月 英利

肝月 英利

株式会社リンクレア
マーケティング統括本部 デジタルマーケティング室 室長

22年間、営業マンとして多数の新規顧客を開拓。
お客様の課題に寄り添い、課題解決のヒントにつながるような情報を発信しています。

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