DX人材に必要な6つの役割とは?人材育成のポイントを解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)を経営戦略の重要施策として位置付ける企業はかなり多くなりましたが、進捗状況には大きな差があります。 その要因の一つにDXを推進する人材の不足が挙げられます。人材不足の解消にはDX人材の採用や外部リソースの活用だけでなく、DX推進に求める人材像と必要なスキルを定義し育成することが重要となります。本ページでは、DX推進に欠かせない人材とスキル、育成のあり方についてご紹介させていただきます。
DXを推進する企業が求める人材
IPAの調査報告によると、約8割の企業が人材の質・量ともに不足を感じていると回答。 また、約半数の企業がDXプロジェクトを推進するリーダー、アイデア発想・IT企画を担うビジネスデザイナーの育成が重要な人材であり、育成の必要性があると回答しています。
重要と考え育成していきたいIT人材

※独立行政法人情報処理推進機構「デジタル時代のスキル変革等に関する調査企業調査データ編」
令和3年5月21日/P26,27,32
DX人材が担う6つの役割
不足を感じる割合の高かった前述2つの人材を含め、DXを推進し成功へ導くために必要な人材について、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、「プロデューサー」「ビジネスデザイナー」「アーキテクト」「データサイエンティスト/AIエンジニア」「UXデザイナー」「エンジニア/プログラマ」と定義しており、それぞれ異なった役割とスキルが求められます。

参考:IPA「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」
プロデューサー
DX推進プロジェクトの企画から実現までのプロセスを統括するPM・PLの役割を担います。PMがプロデューサーの役割を担うこともあり、テクニカルスキルではなく、コミュニケーション力などのヒューマンスキルや状況認識力・決断力・交渉力などのスキルが求められます。
ビジネスデザイナー
デジタル技術を活用したアイデアの発想や企画の役割を担います。イノベーションを起こすためのアイデアを発想する力や、IT化企画力が求められます。また、ビジネスデザイナーは自社のビジネスに精通している必要があります。
アーキテクト
企画を実現するために必要なデジタル技術を検討しシステムを設計する役割を担います。ハードウェア・ソフトウェアなどに関する高度な知見と、構造化スキルなどが求められます。
データサイエンティスト/AIエンジニア
データサイエンティストはビッグデータを解析し、ビジネス課題の解決や意思決定者の支援などの役割を担います。統計・解析・ITに関するスキルだけでなく、ビジネスやマーケットなどに関する幅広い知見も必要です。
AIエンジニアはAIの知見や技術を活用したビジネス課題の解決やAIプログラム開発の役割を担います。機械学習・ディープラーニングなどの知見だけでなく、データ活用に必要な統計学・数学的な知識とプログラミングスキルが求められます。
UXデザイナー
開発するシステムの利便性やユーザーの満足度の向上の役割を担います。利用者が満足するようなシステムやサービスの設計には、ユーザー視点で設計する力や想像力・共感力・コミュニケーション力が求められます。
エンジニア/プログラマ
システム要件の実装やインフラ構築の役割を担います。システムを実装するための設計やプログラミングのスキルが求められます。
効果的なリスキリングの3つのポイント
DX推進に必要な人材育成に取り組む企業が増え、その手法としてリスキリングが注目されています。リスキリングとは、「新しい職業に就くため、あるいは今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、新たなスキルを獲得すること」です。
DX人材の育成にあてはめると、DXを推進するために事業部門から異動した人が必要とするデジタル技術や知識を獲得することがリスキリングです。やみくもに研修へ参加するのではなく、効果的にDX人材を育成するためには3つのポイントがあります。

ポイント1:DX推進に必要な人材像とスキルを定義する
DXを推進することで目指す自社のあるべき姿と現状を明確にし、そのために必要な人材像と求めるスキルを定義することが重要です。
ポイント2:人材のレベルや目的・目標に適した効果的な学習プログラムを策定する
対象となる人材のスキルレベルと目的・目標に適した学習プログラムを策定します。
その際、自発的に取り組める仕組みを設けることも重要です。
ポイント3:学習した内容を実際の業務やプロジェクトで実践する
学習したことがすぐに獲得スキルとして発揮できるわけではありません。その際、自発的に取り組める仕組みを設けることも重要です。
学習した内容を実際の業務やプロジェクトで実践とふりかえりを繰り返し、スキルを磨き続けることが重要です。
まとめ
DXを推進する人材確保は採用や外部リソースの活用だけでなく、自社のビジネス・経営に精通した人材を選抜し、それぞれの役割に応じた専門的知識・スキルの習得ができる育成の場を提供することが欠かせません。また、研修などを通じて得た専門知識やスキルはすぐに定着するわけではありません。現場での活用とふりかえりを繰り返し、研鑽を続けることが重要です。
リンクレアでは「DXは単なる情報化やデジタル化ではなく、デジタル技術とビジネスモデルを用いてプロセスや人・戦略・組織を変化させること」と定義しており、プロジェクトの成功にはT(テクニカル)・M(マネジリアル)・H(ヒューマン)それぞれのスキルをバランスよく身に付けることが重要であると考えています。
本ページに関連したお役立ち資料「DX推進の課題とDX人材に求められるスキル」もご覧ください。