テレワークにおけるプロジェクトマネジメントの課題とQCD改善の工夫
開発の内製化によってプロジェクトマネジメント・コミュニケーションに課題を抱えている企業が多数あります。弊社もコロナ禍の影響で約1年間のリモートワークを主体にプロジェクトを推進し、様々な課題や現場の工夫が浮き彫りとなりました。本ページでは、社内アンケート調査から見えてきたリモートワーク下のプロジェクトマネジメント、特にコミュニケーションの課題と現場の創意工夫をご紹介させていただきます。
はじめに
これまで多くの企業が自社の情報システムの開発・保守を外部ベンダーに頼ってきましたが、従来のベンダー依存型では昨今のビジネスを取り巻く環境変化のスピードに追従できず、競合優位性の維持が困難になってきています。そのような背景から内製化に舵を切る企業が増えてきました。また、ガートナーの提唱するバイモーダルITモデルでも取り上げられているとおり、企業が情報システムに求める価値の変化が内製化シフトへ拍車をかけています。
「開発コスト1/3、開発スピード約3倍」を実現した内製化の成功事例を耳にすることもありますが、現実はプロジェクトマネジメントに関する課題を抱えている企業が多いようです。本ページでは、リモートワーク下のプロジェクト管理、特にコミュニケーションの課題と弊社での工夫をご紹介させていただきます。
システム開発内製化の課題
- 開発リソースの確保
- スキルセット、スキルレベルのバラツキ
- 属人的な開発スタイル
- プロジェクト管理基準が不明瞭
- リモートワークにおけるコミュニケーション
- 内製対応とベンダー活用基準
- 新しい技術の習得と追随
システム開発プロジェクトの実態
日経コンピュータが2018年に実施した「ITプロジェクト実態調査 2018」によると、約50%の割合でQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)に問題を抱えたままシステム開発が終了しています。
また、弊社公開講座調べ(図. システム開発プロジェクトの主な失敗要因)では、プロジェクトの問題の多くは、技術的要因ではなくプロジェクトマネジメントや人的要因に起因していたという結果がでています。技術的要因の「開発経験不足」「スキルのバラつき」「リソース不足」に関しては、一時的な外部ベンダーの活用や、ローコードプラットフォームの活用などで解決が見込めます。
また、マネジメントの要因に関しては可視化することが有効で、その手段としてPMBOK(Project Management Body of Knowledge)などの管理手法の採用が効果的です。また、人的要因である「PLの技量不足」は教育などによる能力強化が必要となります。特に「コミュニケーション」に関しては、コロナ禍の影響でリモートワーク下のプロジェクト推進の課題となっている企業が急増しており、その解決にはコミュニケーションプラットフォームの整備とコミュニケーションのあり方の工夫が重要だと弊社では考えています。
IT人材に必要な能力
システム開発プロジェクトの主な失敗要因
リモートワーク下のプロジェクト推進の創意工夫
2021年5月に弊社全社員(471名)を対象に「リモートワーク実態」に関するアンケート調査を行い、コロナ感染拡大から1年間の様々な工夫や課題が明らかになりました。
全社平均のテレワーク率は65.2%で、内訳として技術部門のテレワーク率が一番高く68%、次いで営業部門が56%、総務部門が44%でした。リモートワーク下での各プロジェクトチームのQCDの工夫に関する問いに関して、85件もの「こまめ」な工夫が行われていたことがわかりました。
2021年5月実施「リンクレア テレワーク実態調査」社内報告書から
プロジェクトチームで行われていた具体的な工夫
メリット
移動時間、会議場所が不要になったことから生じる、会議・準備時間の短さ、参加人数に制限がないこと、画面共有を利用した資料説明のしやすさがメリットと感じている。
デメリット
資料の説明や、発言のしやすさ、進行のしやすさなど、“話す・聞く”に依存する部分は、対面に比べてデメリットを感じている。
まとめ
DXの加速とコロナ禍のタイミングが重なり、これまで以上にプロジェクト推進の工夫が必要となっています。また、開発手法に関してもウォーターフォール型の開発だけではなく、アジャイル開発も増えているため開発手法にあったプロセス・管理手法・効率的な管理ツールの選定やコミュニケーションのあり方が重要になってきています。
リンクレアのリモートワーク下におけるプロジェクトの実態と、アンケート調査から見えてきたコミュニケーションの創意工夫や課題と、プロジェクトをマネジメントしていくうえで求められる役割と能力についてダウンロード資料にまとめましたのでご参考にしていただけると幸いです。
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