多くのメリットをもたらす建設DXの進め方と成功事例を紹介

多くのメリットをもたらす建設DXの進め方と成功事例を紹介

様々な業種・業界でDXに向けた取り組みが盛んに行われています。特に建設業界においては、働き方改革、高齢化に伴う人手不足の解消、さらに技術の継承など業界特有の課題を解決する有効な手段として期待されています。一方で「働き方改革関連法案」の建設業界への適用が目前に迫っており、DXの推進が急務とされています。

そこで、本ページでは建設DXを成功するプロジェクトの進め方についてご紹介します。併せて、弊社が携わった建設DXプロジェクトの事例集をご用意しておりますので、ダウンロードのうえ是非ご覧ください。

建設DXとは?

建設業界におけるDXとは、「建設プロセスをデジタルで再構築すること、または建設業のビジネスモデルを変革すること」です。

引用:阿部 守著『改革・改善のための戦略デザイン建設業DX』,P21

 

特に人材不足、高齢化、長時間労働など様々な課題を抱えている建設業界において、建設DXに大きな期待を寄せています。

建設業界の深刻な課題

高度成長期だった1955年~1973年に整備された日本のインフラは老朽化が進んでおり、効率的な点検・メンテナンスが求められています。一方で就業者の高齢化と人手不足、生産性の低さは建設業界にとって喫緊の課題です。

課題①:長時間労働

建設業界は他業種と比べ労働時間が長い傾向にあります。理由として、基本的に屋外作業であることに加え案件ごとに異なる構造物を建設するため、機械化・デジタル化による効率化が進みにくい特徴があるためです。

しかし、5年間の猶予を設けられていた「残業の罰則付き上限規制」を盛り込んだ改正労働基準法の建設業界への適用が2024年4月に迫っており、作業の機械化や業務のデジタル化による効率化・省人化が急務となっています。

 

労働時間の推移

 

一般社団法人日本建設業連合会:建設業デジタルハンドブック,建設労働,労働時間の推移を参考に作成

 

課題②:低い生産性

建設業界の生産性は他業種に比べ著しく低い傾向にあります。その理由として、建設業界では図面や報告書が紙であることも多く、遠方の現場から事務所に戻って報告書を作成するなどアナログな業務や手作業が残っていることが挙げられます。

 

付加価値労働生産性の推移

一般社団法人日本建設業連合会:建設業デジタルハンドブック,生産性と技術開発,労働生産性の推移を参考に作成

 

課題③:高齢化と人手不足

ピーク時の1997年に685万人いた建設業就業者数は、2021年には485万人にまで落ち込んでおり、深刻な人手不足に陥っています。

さらに就業者のうち55歳以上の割合が35.3%であるのに対し、29歳以下の割合は12%で高齢化が著しく進んでおり、今後高齢者の大量離職による更なる人手不足が懸念されていることに加え、技術継承の観点からも深刻な問題として考えられています。

 

建設業就業者の高齢化の進行

一般社団法人日本建設業連合会:建設業デジタルハンドブック,建設労働, 建設業就業者の高齢化の進行を参考に作成

 

成功するプロジェクトの進め方

建設DXを実現するためのデジタルテクノロジーは、クラウドサービス、ドローン、AI(人工知能)、3Dモデルデータを用いたBIM/CIMやi-Constructionなど多岐にわたります。

山積している課題を解決する選択肢が多いことはDX推進担当者にとって心強い反面、どの課題からどのように着手すべきか頭を抱える方も多いのではないでしょうか。

ここでは、建設DX推進を成功させる段階的導入とプロジェクトの進め方についてご紹介します。

DX推進の5つの段階的導入

技術の進歩によりDXを実現するデジタルテクノロジーは身近なものとなり、建設業界でも導入を進める企業が増え、成功事例も増えてきました。

しかし、他社が効果を上げているからといって、自社に同じものを導入しても効果が上がるとは限りません。まずは自社の現状を確認し、何も着手していないようであれば、データやデジタル技術を活用できる基本的な環境の整備から始める必要があります。

環境の整備には通信環境や端末の確保だけでなく、ITリテラシーの向上やDX人材の確保も含まれます。環境が整った後は、いきなり建設プロセス全体をデジタル化するのではなく、できることから段階的に進めて小さな成功体験を積み重ねていくことが重要です。

 

建設DX推進の5つの段階的導入

阿部 守著『改革・改善のための戦略デザイン 建設業DX』,P179を参考に作成

DX推進を成功させるプロジェクトの進め方

DXの実現はツール(デジタルテクノロジー)の導入だけでは達成できません。重要なことは、デジタルテクノロジーを活用して解決した具体的な課題、何を実現するのかといった目的を明確にしておくことです。

 

現状・課題・目的を明確にする手順

リンクレア独自の上流工程方法論「CANVAS-SA®」

「CANVAS-SA®」の詳細はこちら

建設DXがもたらすメリット

デジタルテクノロジーを活用することで、単なる効率化だけでなく長時間労働の是正、省人化、安全性の向上や技術継承などのメリットが期待できます。

メリット①:業務・作業の効率化による長時間労働の改善

デジタルテクノロジーを活用することで業務を効率化することが可能です。例えばBIM(ビルディングインフォメーションモデリング)を導入することで、建物の施工前にデータを活用し意匠表現や構造設計などの仕様やコストの管理や施工計画を立てることができます。

これにより、事業主と施主との意思疎通や意思決定が円滑となり、手戻りの削減にもつながるなど生産性が向上し効率化が図れます。

また現場作業終了後、事務所に戻って行っていた見積・日報作成などが現場からでも行えるようになり、無駄な移動時間の削減や作業時間の短縮が見込めます。その結果、長時間労働の改善が期待できます。

メリット②:省人化による人手不足の改善

デジタル化による効率化を進めることで労働時間が短縮され、ドローンや遠隔操作技術を活用することで重労働の負担軽減や安全性の向上につながります。

そうした労働環境の改善により、従来よりも少ない人数・期間で成果を上げられることに加え、人材の定着化も見込め、人手不足の改善が期待できます。

メリット③:デジタル化やデータ活用による技術継承

例えばカメラを装着した熟練技術者の作業を記録しAI(人工知能)に学習させることで、技術継承の効率化や、技術レベルの向上が期待できます。

建設DXプロジェクト事例

弊社が携わった建設DXプロジェクトをいくつか紹介させていただきます。

事例①:大成建設株式会社様「工事管理ポータル構築」

各システムに点在していた決裁書・工程・出来高曲線・支払などの情報を統合的に参照できる「工事管理ポータル」を構築しました。それまでは案件に関わるメンバーが、支払やスケジュールなどを参照する際には、各システムへ個別にログインしなければならず、時間と手間がかかっていました。「工事管理ポータル」の運用が始まってからはお客様より、『リアルタイムに物件単位で情報を参照できるようになり、BIツールとの連携によりグラフ化できるようになりました。また、状況の把握も容易で、迅速な意思決定が可能になっています。タブレットなどのモバイル端末にも対応しており、作業所の生産性向上に繋がることを期待しています。』とのお声をいただいています。

大成建設株式会社様 事例ご紹介ページ

事例②:レイズネクスト株式会社様「施工情報データベース構築」

各営業所独自で管理していた各機器仕様情報や施工情報を一元管理する施工情報データベース(S-TORAGE)を構築しました。それまでは、類似の情報を参照したくても手間が掛かったり、工事の度に同じデータを入力しなければならないなど、お客様への最善な提案を効率良く行うことが容易な状況ではありませんでした。「S-TORAGE(施工情報データベース)」によって、「熱交換器」等カテゴリ別の、各機器仕様情報、施工情報などを蓄積・共有することで、計画・引継・報告書作成業務等の効率化とともに、お客様への安全・品質・コストを考慮した最適な工法の提案を実現されています。

レイズネクスト株式会社様 事例ご紹介ページ

事例③:株式会社杉孝様「レンタル仮設機材Webオーダーシステム構築」

仮設機材の注文を24時間受付けるWebオーダーシステム「COLA」を構築しました。「COLA」をお客様向けのシステムサービスとしても提供することで、自社だけでなくお客様の業務効率化・品質向上にも貢献しています。それまでは、現場に出ている複数の職人から注文依頼を受けた事務担当者が、営業時間内に急いで注文していたため、誤発注も少なくありませんでした。また、場所を選ばずパソコン・スマートフォンからの注文も可能なため、作業の空き時間や作業後すぐに注文できるようになりました。

株式会社杉孝様 事例ご紹介ページ

まとめ

アナログ作業が多くデジタル化が遅れていた建設業界でしたが、技術の進歩により多くの企業が建設DXの成果を上げ始めており、デジタルテクノロジーの活用が建設業界の抱える課題解決の端緒であることは明白です。DXの成功には「段階的な導入」と「課題と目的を明確にする」上流工程が重要です。できることから少しずつデジタル化していくこともDX推進の第一歩です。

リンクレアでは、DX推進のお悩みご相談の場「DXよろず雑談会」から、コンサルテーション、システム構築、AI・データ利活用、クラウドエンジニアリング、DX人材育成に至るまで幅広くご支援していますので、お気軽にご相談ください。

建設業界プロジェクト事例

このような方にオススメ

  • ローコード開発事例を知りたい方
  • ローコード開発プラットフォームにご興味のある方
資料ダウンロード

建設DXに関するお問い合わせはこちら > 

肝月 英利

肝月 英利

株式会社リンクレア
マーケティング統括本部 デジタルマーケティング室 室長

22年間、営業マンとして多数の新規顧客を開拓。
お客様の課題に寄り添い、課題解決のヒントにつながるような情報を発信しています。

ページトップへ戻る