業務効率化やデータ活用にも使えるPython

業務効率化やデータ活用にも使えるPython

近年、最も注目されているプログラミング言語であるPython。業務効率化やデータ活用にも使えるという話を耳にしますが、具体的にどのような業務に活用できるのか、疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Pythonの特徴、業務活用例、学習方法から社内展開まで、分かりやすくご紹介します。

研修から、Pythonの社内活用に至った

ワークマン様の事例はこちら

Pythonとは

Pythonは、1991年にオランダのプログラマー グイド・ヴァンロッサムが開発したプログラミング言語です。その歴史はJavaよりも古く、30年以上にわたって世界中で利用されており、GoogleやInstagram、YouTubeなど、身近なアプリケーションの開発にも使用されています。

Webアプリケーションの開発だけでなく、データ活用(AI、機械学習 他)など多岐にわたる分野で利用されており、国内外を問わず、今最も人気の高い言語と言われています。

Pythonの特徴

Pythonには、以下のような特徴があります。
 

①シンプルで書きやすい

Pythonは読みやすさと書きやすさを重視して開発された言語です。他者が書いたコードでも解読しやすく、初心者がベテランの記述したコードを読んで学ぶことも可能です。

Javaの足し算(1 + 1 = 2)コード


 public class Main {
  public static void main(String[] args) {
   int sum = 1 + 1;
   System.out.println("1 + 1 = " + sum);
  }
 }


Pythonの足し算(1 + 1 = 2)コード


  _sum = 1 + 1
  print("1 + 1 =", _sum)

②エラーを修正しやすい

Pythonは、人間が書いたソースコードを、コンピューターが判読できる機械語へ、一行ずつ翻訳しながらプログラムを実行するインタプリタ言語です。文法にミスがあった場合、ミスがある行で処理が止まります。そのためエラーを特定しやすく、初心者でも確認や修正が容易にできます。

③機械学習やOffice関連のライブラリが豊富

他の言語と同様に、Pythonにはライブラリとフレームワークが豊富にあり、コードを一から書かなくとも、プログラミングが可能です。

ライブラリ

特定の機能を実現するプログラムの部品群。
ライブラリ単体では動作せず、ほかのプログラムと組み合わせて利用。数値計算や統計処理、画像処理、音声処理等、数万を超えるライブラリが公開されています。
 

フレームワーク

WEBアプリケーションやシステム開発に必要な機能があらかじめ用意された骨組み。
フレームワークを活用することで、コーディングミスの軽減や開発効率を大幅に向上させることができます。

その中でもPythonは、 機械学習に関するライブラリ Officeと互換性があるライブラリが豊富で、データ活用や業務効率化に役立てることができます。

④オープンソース

Pythonはオープンソースとして公開されており、無償で利用することができます。また、ライブラリやフレームワークについても、無償で利用できるものが多くあります。 さらに、Windows、Mac、Linuxといった主要なOS環境下で動作するため、どのようなPCでもPythonを利用することができます。各種サービスやアプリとの互換性も高く、初心者からプロフェッショナルまで幅広い層に支持されています。

Pythonの業務活用例

Pythonを業務に活用する例としては、「業務の自動化」と「データ活用」の2つが挙げられます。
 

①業務の自動化


ブラウザやアプリケーションの自動操作

マウスやキーボードの操作で行う業務は、Pythonで自動化することができます。
たとえば「Webサイトから特定のデータを取得し、そのデータを業務システムに転記・登録する」などの定型業務は、Pythonで自動化することができます。

スクレイピング

スクレイピングとは、Webサイトから必要なデータを自動取得することです。前述のブラウザ操作とは違い、HTMLやCSS(Webサイトを構成する言語)を解析して必要なデータを抽出することができます。たとえば、マーケット調査を行う際に、データ収集業務を自動化することができます。

ただし、Webサイトによっては、利用規約でスクレイピングを禁止しているサイトもあるため、注意が必要です。また、スクレイピングで取得した情報をそのまま利用すると、著作権法に抵触する恐れがあるため、情報の取り扱いにも注意が必要です。

Excelの自動操作

Pythonは、Excelの操作を自動化することができます。複数のファイルやシートに点在しているデータを集め、定期的なレポート作成業務を自動化することができます。 また、Excelの他にGoogleスプレッドシートの操作を自動化することもできます。

活字の読み取りとデータ抽出

Pythonは、請求書などのPDFファイルからテキストデータを抽出し、Webシステムに自動転記することができます。ただし、手書き文字の読み取りについてはAI-OCRが適していると言えるでしょう。

上記でご紹介した4つの活用例のほかにも、メールの自動送信やAPI連携などを実現することもできます。

②データ活用

Pythonのライブラリやフレームワークを利用することで、データの収集・加工・可視化・分析までの一連の流れを効率化することができます。
 

データの収集

データには2種類あり、企業が自社で管理している「内部データ」と、Webサイト上のデータや一般公開されているデータ等の「外部データ」があります。

「内部データ」の収集には「Selenium」を始めとするライブラリを利用し、「外部データ」の収集は、先に紹介したスクレイピング等を利用すれば、効率よくデータを収集することができます。

データの加工

収集したデータは、データの欠損やデータ型が異なることがあるため、そのままでは分析ができません。そのため、分析が行える一つのデータフレーム※に整える必要があります。 その際、「Pandas」等のライブラリを使用することで、並び替えや欠損値処理、カテゴリカルデータの変換などが効率的に行えます。

※データフレーム…行と列で構成される表形式のデータ構造

欠損値処理
何らかの理由によって記録されなかった値を、平均値や最頻値(最も多い頻度を示す値)などの値を代入することで補完を行います。また、除外しても分析結果に影響を与えない値を削除します。

カテゴリカルデータの変換
実際に手を動かし、アプリケーション作成や業務の自動化を体験して学ぶ
カテゴリカルデータは「あり」「なし」などカテゴリー分けできるデータです。文字列形式のままでは分析できないため、「あり→1、なし→0」などの数値に変換します。

データの可視化

データを可視化するライブラリ「Matplotlib」を利用することで、散布図やヒストグラム、棒・円・折れ線グラフなどを作成することができます。「Seaborn」や「Plotly」などのライブラリも良く使われます。

データの分析

Pythonは機械学習や深層学習(ディープラーニング)などの、AI開発に利用できるライブラリが充実しています。
機械学習ライブラリでは「Scikit-learn」「LightGBM」「PyCaret」、深層学習ライブラリでは「TensorFlow」「PyTorch」がよく利用されています。

多くの企業でニーズの高い、顧客分析・需要予測・要因分析・異常検知などは、Pythonを使って実現することができます。

Pythonの学習方法

Pythonは文法がシンプルで、直感的に理解しやすく、他のプログラミング言語に比べて学習の難易度は低いと言われています。人気が高く利用者も多いため、Python学習者向けの書籍やWebサイト上の記事も非常に多くあります。
 

①個人学習の方法

  • 書籍(入門書)から、基本的な文法やコードの書き方を学ぶ
  • WebサイトやYouTubeを検索して疑問点を解決する生成AIを使って、質問しながら学ぶ
  • 生成AIを使って、質問しながら学ぶ
  • ライブラリやフレームワークを使い、実際に動くアプリケーションを作る
  • コミュニティに参加し、質問や意見交換を通して学ぶ

個人学習のメリット

  • 自身のペースで学習を進めることができる
  • 学習コストを抑えられやすい

個人学習のデメリット

  • 学習の進捗や成果が見えづらい
  • 疑問点をその場で解決することが難しい
  • 学習の進捗や成果が見えづらい

②外部研修の利用

・講義形式
オンライン/対面に関わらず、座学で基礎から応用までの知識を学ぶ

・ハンズオン形式
実際に手を動かし、アプリケーション作成や業務の自動化を体験して学ぶ
(1)あらかじめ決められたテーマでアプリケーション構築を行いながら学ぶ
(2)実務に即したテーマでアプリケーション構築を行いながら学ぶ

外部研修のメリット

  • 独学ではわからなかったことを気軽に質問できる
  • 日常業務など、時間的な制約がある中でも、効率よく学べる
  • モチベーションを維持しやすい

外部研修のデメリット

  • 研修費用がかかる場合が多い
  • 自分(自社)に合った研修を探すことが難しい

個人学習の場合、一定レベルの知識は身につきますが、初学者が業務活用できるレベルまで達するには難しい側面があります。経験豊富な有識者が身近にいない場合、疑問や課題を解決できず、挫折してしまう方もいらっしゃいます。

一方で、外部のハンズオン形式の研修は、経験豊富な有識者のアドバイスを受けることができるため、疑問や課題を都度解決しながら学習することができます。また、内容をカスタマイズできる研修もあり、自社の状況やレベル観に即した形で受講することも可能です。
受講後のサポートや費用を見比べ、自社の課題に合った研修を利用することをお勧めします。

Pythonを活用する企業は、どのように導入を進めたのか

リンクレアでは、多くのお客様からPython導入のご相談をいただきます。ここでは、お客様がPython導入の検討に至った背景、導入の進め方、社内展開の方法についてご紹介します。
 

導入検討に至った背景

  • 初心者でも内製化が進められると聞いたから
  • 業務効率化に関するライブラリが充実していて、コストダウンに繋がると感じたから
  • データ分析の内容が高度化し、Excelによるデータ分析に限界を感じたから
  • 他社のPython活用事例を見て、低コストで高度な分析ができると考えたから

上記のように、業務効率化やデータ活用を推進するお客様がほとんどです。

導入推進の課題

Pythonの導入推進を考える上で「まずは独学で、少し利用してみてから」という方は多くいらっしゃいます。その一方で、多くの方が挫折されている現状が多いのも事実です。挫折の理由には、3つが挙げられます。

  • 通常業務が忙しく、学習の時間が取れない
  • 独学では疑問や課題を解決しづらい
  • プログラムの書き方は何となく理解できても、業務にどう活かしたらよいか分からない

特に3つ目は非常に重要で、プログラムが書けるようになることと、実際に業務で活かすことは別物である場合が多くあります。ロジックを組むことが難しかったり、「何に使えるのか」をイメージできなかったりと、うまく活用しきれない方が多くいらっしゃいます。

導入推進の方針転換

実務や課題に合わせたハンズオン研修の採用
導入推進におけるさまざまな課題を解決するために、ハンズオン研修を採用される方も増えています。自社が抱えている業務課題やテーマに沿った内容に研修をカスタマイズすることで、効率的かつ実践的にPythonを学習することができます。

社内展開

データ活用の自走を支援するアドバイザリ支援の活用
ハンズオン研修で学んだことを、データ活用の専門家のサポートを受けながら実務で実践。実務に即したプログラムの作成、ライブラリの選択や機械学習に関するアドバイス、サンプルコードの提供を通じて、課題解決しながら基本的なコーディングノウハウの蓄積を図ることができます。

外部研修などの学習の場だけでなく、実務における活用をデータ活用の専門家が継続的にサポートする伴奏型のアドバイザリサービスを活用するケースも増えています。

リンクレアではお客様の課題やテーマに合わせた「Pythonハンズオントレーニング」や、研修後の支援として「機械学習を用いたデータ利活用のOJT」「データ利活用アドバイザリ支援」を提供し、お客様の内製化に向けた長期的な支援を行っております。

実際にこれらサービスをご利用いただいた、株式会社ワークマン様の事例をご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

研修から、Pythonの社内活用に至った

ワークマン様の事例はこちら

まとめ

Pythonは、Webアプリケーションの開発だけでなく、業務の自動化やデータ活用など多岐にわたる分野で利用されているプログラミング言語です。文法がシンプルでコードが書きやすいPythonは、他の言語に比べて初心者にも扱いやすい言語とされています。

しかし、初学者がPythonを実務で活用できるレベルに達するには難しい面もあるため、外部有識者の知見を取り入れることで効率的かつ実践的にPythonを学習することが有効です。

ダウンロード資料では、リンクレアが提供している研修の詳細や、研修の効果(Pythonによる業務効率化事例)をご紹介しておりますので、是非そちらもご覧ください。

Pythonによる業務効率化やデータ利活用の実践プロセス ご紹介資料

Pythonによる業務効率化やデータ利活用の実践プロセス ご紹介資料

このような方にオススメ

  • Pythonの活用例を知りたい方
  • Python研修をお探しの方
資料ダウンロード

システム構築に関するお問い合わせはこちら > 

まつくら みな

まつくらみな

株式会社リンクレア
マーケティング統括本部 デジタルマーケティング室

10年間営業を経験したのち、デジタルマーケティング室へ異動。 お客様にとって「おもしろい情報」をお届けできるよう、心がけています。

ページトップへ戻る